「生きる力」を養う学校教育を実践
円蔵中学校で総合学習の研究発表会
シンポジウムでは
様々な意見が交わされた
 平成12・13年度茅ヶ崎市教育委員会推薦研究校に指定されている茅ヶ崎市立円蔵中学校で11月8日、「自らの生き方を考え、行動できる生徒の育成〜総合的な学習の時間(3E)の活動を通して〜」と題した研究発表会が行われた。同校では平成10年度より「総合的な学習の時間」を導入し、「生きる力」を養うための教育を目指している。


 同校では全国に先駆け、平成10年より「総合的な学習の時間」を導入し、社会での実体験を盛り込んだ授業を行ってきた。学校での授業のみに留まらず、家庭や地域とのコミュニケーションを活かした、開かれた学校教育を目指し、社会体験や自然体験を通して「生きる力」を養うことを目的とした試みだ。同校ではこれをEnzo Essential Education(略して3E)と名付け、人権・福祉教育、環境教育、国際理解教育、地域理解教育、生き方教育などの授業を実施している。さらに平成12年からは各学年ごとにプログラムが組み分けられ、生徒が「与えられる学習から自分の興味・関心に沿って発見し追求する学習へ」と至るシステムになっている。

 今回の研究発表は主に小・中学校の教員を対象にして行われ、全国から300名以上の教員が訪れた。午前の部ではオリエンテーションの後、1年から3年の各学級で3Eの授業が公開された。1年生の学級では国際理解教育・国際交流学習の授業が行われ、生徒らが各国の文化を学ぶために習った民族舞踊などを披露。2年生の学級では、通常の教科学習に3Eとの関連性を持たせた内容の授業が行われた。3年生の学級では課題解決学習の中間発表会が公開された。

 また、午後に開かれた全体会では、3学年の生徒の代表による課題解決学習の発表が行われた。各国の食文化の違いや、昨年のサザンオールスターズ茅ヶ崎ライブの経済効果についてなど、生徒らが自分で選んだテーマに基づき調査したデータが発表された。

 「新しい学校の創造を求めて」というテーマで行われたシンポジウムには、無藤隆氏(お茶の水女子大学教授)、東川宏氏(前寒川町立南小学校長)、高橋健一氏(萩園ケアセンター準備室)、池田尚子氏(駒寄川水と緑と風の会)がパネリストとして参加。それぞれの立場から独自の教育論を展開し、学校の教育の在り方について様々な意見が交わされた。

 今回の研究発表を終えて同校長の山崎純一氏は「生徒も教員も生き生きとした表情で取り組んでくれたので良かった。これからも総合的な学習を定着させていきたい」と話した。

 知識偏重型教育が見直されるとともに、今後も時代のニーズに合った教育の在り方が問われていきそうだ。