「みんなの家」設置にあたって 1990年6月23日

「みんなの家」設置にあたって


    皆様へ


                      人形劇団パンアリス






 この度、カトレアホームの隣接地(東南側一段下がった所)に、自主自由保育や、陶芸クラブ、各種ボラティア等をはじめ、だれでも利用できる「みんなの家(プレハブの休憩所)」を設置することになりました。
 そこでこの機会に、中心となってうごいてきた「人形劇団パンアリス」から、この経過を説明させてもらうともに、皆様のご協力もいただきたく、ご案内させていただくことにしました。

 「人形劇団パンアリス」は、1988年秋頃から、陶芸家の加山哲也さんが造った縫いぐるみの人形に興味がある人達が、自然発生的に集まり、始まったグループです。
 その基本的な思いは、

1、人形劇の練習その他の集まりは、カトレアホームの中でやっていこう。

2、することは、人形劇だけに限らず、集まった1人1人が、それぞれ自分の夢を語り合い、1人1人の夢を実現していく場にしていこう。

ということです。
 始めからそう考えて始めたのではなく、人が集まってきてから自然とそういう形になっていったわけで、組織とか入団とか団員とかいう概念は、はなからありませんでしたし、今でも考えていません。
 「人形劇団パンアリス」が、してきた事は、ホーム内の各種行事、幼稚園での公演、養護学校への公演、香川公民館まつりへの参加と公演、コープかながわを通じての横浜博公演、等がありますが、カトレアホームのマスコット「カトレアちゃん」もその産物です。
 1、にあげた、カトレアホームを集合場所の中心に据えたことに、
「人形劇団パンアリス」の存在の真髄があるとも言えます。
 人形劇団の練習や打ち合せなら、公民館等を借りればできるけれども、あえて老人ホームの中で練習をするという事に、こだわっている訳を説明します。

 老人ホームは「ホーム イコール 家」と考えられ、長いあいだ「生活の場」であると提唱されてきました。
 しかしながら、ホームは、老人福祉施設であるという社会的位置付けから、「老人福祉を受ける人と、福祉援助をする人だけが集う所」「福祉活動以外はしない所」という社会的通念が強くはたらき、本来の「家」とは違うかたちに捉えられやすい傾向があります。
 ホームを訪れる人は、面会者かボランティアであって、「お年寄りの為に」という名目がないと来てはならないかのように考えられがちです。
 そうした考えかたが、実はホームを一般社会から遠ざけてしまっている、ということに、なかなか気づかないでいるのが現状のようです。
 原点にかえって、ホームは「家」であると見ると、来訪者は「遊びにくる」人だということに気づきます。
 私たちの家の事を考えてみても、あなたの家を訪ねる人は、あなたや、あなたの家族に奉仕をしたり、家族を慰問したり、「あなたの家族の為に」と言う名目を持っていないとあなたの家を訪ねる事ができないでしょうか。
 そんなことはありません。ただ、あなたやあなたの家族のところへ「遊びにくる」だけではないでしょうか。 
 もちろん、あなたの家の中で不便な状態がある時、援助の為に友人が訪ねることもあるでしょうが、そういう時もあるし、ただ、遊びにくるときもあるわけです。本当は、どっちでもいいわけです。
 家にくる人も、あなたは興味がなくても、家族の一員に釣りが好きな人がいれば、釣り仲間があなたの家に集まることもあるでしょう。
 主婦仲間が集まり、料理を教えあったり、お茶を飲んだり、愚痴をこぼしたりもするでしょう。
 家族のそれぞれが、仲間を呼んで来て、好きなことをできるのが家ではないでしょうか。

 「人形劇には、お年寄りも参加するんですか?」「劇は、カトレアホームのお年寄りや、他の老人ホームのお年寄りの為に披露するのですか」
といった質問をよくうけました。
 その度に「お年寄りの為ではありません」と答えると、キョトンとされました。
 もちろん、練習をお年寄りは目にしますし、ホーム内の演芸会で劇は披露はしますが、ただそれだけのことです。
 「人形劇団パンアリス」は、「カトレアホームは、まだ、福祉施設ではあっても家ではない。」と感じたために、あえて、老人福祉に関係ない人形劇団が、ホームの中で練習することに意味を見つけたのです。

 「ホーム イコール 家」と言えるようにしたい。
 それが「人形劇団パンアリス」の夢のひとつです。
 理由を述べれば、このような内容になりますが、ようは「自分が年をとったら家に住みたい。福祉施設や病院はいやだ」と思っただけの話です。

 人が気軽に集まれたり、夢を語り合えたり、子供がのびのびと遊べたり、
緑に囲まれてくつろいだり。
 カトレアホームを、こんな家にしたいと思っています。
 この度、設置するプレハブは、下寺尾の神輿保存会有志の皆さんのおかげで、安心な業者を紹介していただき、価格も安く買うことができることになりました。
 抱え込まなければ、自分を開いて行けば、道は目の前に開けます。
 道は、選ぶのではなく、自分自身が道だからです。

 プレハブ本体の購入は、約100万円が必要です。
 いまの所「人形劇団パンアリス」の有志による寄付を見込んでいますが、その他の付帯設備も欲しいものがありますので、お金はいくらあってもおお過ぎません。
 と言うわけで、皆さんのカンパ(寄付金)を大募集中です。

    保育をしたい人
    陶芸をしたい人
    夢を語りたい人
    くつろぎたい人
    きたい人は、どうぞ みんなの家に来て下さい。

  


 結局カンパは、ほとんど集まらなかった。(笑)
 だが、プレハブは建った!
 神髄は 過程を楽しみ 結果オーライ
 だめでもともと こりずに あきらめない (^^)

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